ワークショップ開催!

<第2回>富士山を考える会WS
〜フューチャーデザインワークショップ「富士山の未来」〜

概要

フューチャーデザインワークショップは、参加者が「将来世代」になりきり、持続可能な社会の姿を想像・デザインする対話手法です。参加者は「将来人」になりきって意見を述べ、現代の課題に対処する将来的な仕組みを提案します。単なる予測ではなく、「望ましい未来」を描き、それを実現するための道筋を逆算していきます。現世代の利益優先ではなく、将来の人々が感謝する社会を構築するために、「もし未来から現在を見たら」という視点で議論を行います。

本ワークショップでは、このフューチャーデザインワークショップの手法を用いて、30年後(2054年)の富士山で暮らし、働くわたしたち「将来人」が、世代を超えた課題や富士山の可能性などを6グループに分かれて話し合い、ストーリーを作成しました。

フューチャーデザインワークショップを開発した上智大学地球環境学研究科の中川善典教授に協力をいただき、多くの参加者と活発な意見交換が行われました。

開催日:2024年2月9日
場所:人材開発センター富士研修所(富士吉田市)
参加者:29名(ほか運営スタッフ)

当日の内容

2054年の「将来人」になるための一歩

まず取り組んだのは、30年前の過去を生きていた富士山の人々に対して「○○をしてほしかった/してほしくなかった」というメッセージを送る「パストデザイン」です。この作業によって、30年という時間を経て、将来世代(わたしたち)は何を思い、感じるのかを体験します。

今回30年前の出来事として1964年の「スバルライン開通」を取り上げ、当時の新聞記事をみながら、「将来人」である私たちが意見を出し合いました。

意見としては、

  • 観光客が増えて、富士山はゴミだらけになったよ
  • スバルラインの工事は富士山の環境に大きなダメージを与えた
  • 富士山を観光に利用して、経済を優先していくことが一番大切なことだと思うんですか?
  • 富士山の古くからの登山の在り方や環境を守ることを考えて。
  • 交通機関が整備されたことで、観光客が増えたことは地元の経済にとって有り難い。
  • より気軽に富士山に、というニーズを満たすための施策は否定できない

など、現在の富士山の課題と過去の出来事が結びついたり、30年という時間がいくつもの結果を出している感覚をつかみました。

30年後にタイムスリップ!

後半は、いよいよ今の年齢のまま2054年の未来へ。「将来人」になって、2024年の人たちへ、未来はこんな風になってるよ、だから今から考えて!アクションを起こして!とメッセージを送りました。6グループに分かれ、30年後のストーリーと2024年へのメッセージをまとめました。

6つの未来ストーリーをそれぞれまとめると

  1. 富士山が噴火した未来
  2. 富士五湖一帯が世界的な文化都市へ。国際的な施設が建ち、著名人が暮らしている。
  3. 富士登山鉄道の開通。質の高い富士山ガイドが憧れの職業に。
  4. 昔ながらの登山道が大人気。山小屋の復活。山岳文化都市ふじよしだ
  5. 富士講の精神文化が海外で注目され、世界中に海外富士講が立ち上がる。
  6. テクノロジーにより登山が安全になるほど富士山の宗教的価値が見直される

文化的な成熟、精神性重視という未来が多く描かれました。そんな中でも富士山が噴火した未来では、地域のインフラが消滅し、新たな自然環境が構築されて世界自然遺産となる未来でした。ここまで考えてみたことなかった・・・とみんなびっくり。

この日の結論

将来人からの富士山の未来への提言をまとめてみます。

  1. 噴火後の生きる術を本気で考え始めて。
  2. 下吉田、上吉田、富士山五合目下、上、それぞれの関係者がバラバラに動くのはやめて、この一帯がまとまって、素晴らしい国際文化都市へと動き出して。
  3. 富士山の自然と伝統的な信仰、登山文化をしっかり見直して、決してこの資源を失うことがないようにして。
  4. 富士山の特異性を活かして質の高いガイドの需要が伸び、ガイドが富士山の価値を高めるキーになるから、ハイクオリティガイドの養成を急いで。
  5. 富士山の精神的価値を捉え直して、「海外富士講」受け入れのためのガイド養成、山小屋復元整備にしっかり取り組んで。
  6. 富士山の歴史と伝統の価値が再評価されるので、その動きに敏感になり、暮らし、働く人たちもその動きに連動する工夫をして。

「富士山の未来」 参加者すべてが「将来人」として本気で富士山を考えた時間・・・

フューチャーデザインという手法が大きな刺激となって、考えたこともなかった未来の姿がありありと現れ、次回のワークショップへの期待が膨らむ回となりました。